5月以来にソロキャンプへと出かけた。
土曜日午後から息子がお友達と遊ぶようで、この隙しかないだろうと妻に外泊の許可をもらい、野へ出た。
これまで散々お預けをくらっていたので、どこへ行こうかは相当悩んだ。
気持ち的にはキャンプに行きたいが、冬季登山はやっておかねばなるまいという義務感もあり、どちらにするかのせめぎ合いはなかなかのものだった。
結局「アウトドアベース犬山のキャンセル空きが出たらキャンプ、出なければ登山」ということで天に任せることにした。
ソワソワしながら平日を過ごして、金曜の昼にアウトドアベース犬山のキャンセル空きを見つけてすかさず予約。晴れてキャンプへ行く権利を勝ち取った。
正直登山にはあまり行きたくなかった。
最近忙しくて凄く疲れているし、この大寒波の中の山行はどう考えてもキツい。
キャンプ場の予約が取れて、ホッとしたような気分と、「そんなヌルい男でいいのか」と自問したくなるような気分とがあった。
でももうキャンプ行くしかねぇもん。予約しちゃったんだから。
実は水曜日時点で登山に行くことになるだろうとパッキングは済ませておいたのだが、キャンプ用の荷物に作り替えた。
装備はアウトドアワゴン無しで、ザックと手で持てるだけ持っていくという縛りで。いや、縛りというか、ワゴンを使うのが面倒臭いだけ。
テントは当初ロガ4を持って行こうとしたが、どう考えてもワゴン無しの制約の中では厳しそうだったので、結局タッソUL。
テントが大きくなると他の道具も持って行きたくなるじゃん?ロガ4なんてソロには豪邸よ。
豪邸には豪邸に見合う道具を設置しないとダメじゃん?意味もなくラックを設置してみて、じゃあ次はラックに置く道具も持って行こうか、フラットバーナーもビルトインして…とか考えてしまう。
それはそれで凄く楽しいんだけど、今はそんな元気はない。
その点タッソULならテント自体軽量だし、みすぼらしいお手軽キャンプスタイルにもマッチする。
大寒波により当日は雪。
名古屋でさえも少しだけ雪が積もっており、これはキャンプ場は雪に覆われているだろうなという予想は当たった。
(と言っても積雪なんて数センチくらいだが)
キャンプ場は一面雪。
寝坊&買い出しで10時30分頃の到着となったが、奥まったプライベート感のある場所が空いていたので、そこをキャンプ地とした。
ちょうど誰かが使っていたのだろう、そこだけ雪がなく、設営はすんなりいけた。
うーん、寒いしどうもテンションが上がらない。やっぱり疲れているんだなぁ。
動く気にもならず、あまりの寒さに堪らずテントに籠ってバーナーを点火。
ヒーターアタッチメントで暖を取りつつ、ラーメンを作る。ラーメンを啜ると少し温かくなってくる。
それでもまだ元気が出ない。
トレッキングに行こうと思っていたが、やる気にならず横になる。
本でもあれば読書をしたのだが、家を出る直前まで「本も持って行こう」と思っていたのに忘れた。
これじゃ何のためにキャンプに来たか分からないぞ。
いや、キャンプでくらい自由でいいじゃないか、寝て過ごすのも自由だぞ。
色々な思いがあったが、家族を置いて家を出てきている罪悪感もあった。いや、それは大袈裟か。
しかしちょっとの後ろめたさくらいはあるので、ムクリと身体を起こして外へ出た。焚火でもしよう。
焚火台を組み立てて火を熾す。なんとなく楽しい気分になるようなならないような。
また、火を熾しても寒いものは寒い。
即席ラーメン一杯ではカロリーも足りていないか。
こしあんと水を鍋に入れて火にかけ、餅を入れてグツグツ煮込む。おしるこを作る。
美味い!
これでようやく元気が出た。
13時頃にやっとこさトレッキングへと出かける。
夕方までこの辺の山を練り歩こう。
深く考えずに適当に歩き出した。
と言ってもコースなんてほぼ限られているので、結局決まった目的地をいくつか経由してキャンプ場へ戻るだけだ。
結構しっかり雪が残っていて、幻想的だ。
空は曇っており、雪の白さなのか、曇り空の白さなのか境界が分からなくなる。
カロリーも取って、結構な厚着をしてきたが体温が上がらない。これはやはり疲れだろうか。
コースは明瞭だが、度々藪を嗅ぎ分けて進まなければならない場所があり、アウターにびっしりと雪が付着する。
キャンプ用のモコモコアウターは過剰に雪を絡め取り、その度に払い落すのが面倒だった。
これが一番酷い藪漕ぎだった。
まずは八曽山(のガッカリ山頂)へ行き、
それから滝へ。
滝は八曽山と違って見ごたえがある。
滝つぼ近くまで行き、ブレンディスティックを頂く。
少しゆっくりしたかったが、気を遣ってか後続の人が遠巻きに待っていたので速やかに退散した。
そこから謎の絶景ポイントを通過し、
少し行くと林道へと出た。
せっかくなのでまだ通ったことのない道を行こうということで、「400m先 八曽キャンプ場」という看板に従って林道を下って行った。
(全然400mじゃなくて、もっと長かった)
八曽キャンプ場は確か10数年前の集中豪雨で復旧不可能な被害を受けて閉鎖したんだっけ。
打ち捨てられたキャンプ跡を見ておこう。
…と、思ったのだが、八曽キャンプ場があったであろう場所に辿り着いてもどれがそれだったのか分からない。
まぁいいや。
途中で分岐があり、次は八曽モミの木キャンプ場がある方向へ行く。
このキャンプ場は名前が似てるが、八曽キャンプ場とはまた別。紛らわしいやっちゃな。
今は冬季休業中だが、グリーンシーズンにはちゃんと営業をしている。予約しようとしても電話が繋がった試しがないけど。
で、モミの木キャンプ場へ着いたら次は我らがアウトドアベース犬山への道へと入っていく。
正規ルートは通行止めされていたが、別のルートからは普通に入れた。
キャンプ場へ戻る前に、岩見山へと登っていく分岐があったので登ってみる。
そういえば岩見山へは何度も行ったことがあるけど、こっちのルートでは行ったことがなかった。
普段のルートと違ってしっかり整備された道だけど、斜度はなかなか。
今回の行動中はずっと「体温が上がらないなぁ」と思っていたけど、ここの急登でようやく汗ばむくらいエネルギーを使った。
登り切った先には、雄々しい岩肌が。
絶景だ!
どうやら岩見山のピークではなく展望台へと登ってきたらしい。いやー、いい眺めだ。天気も最高。
ここから少し進むといつも登っている岩見山のピークへ辿りつく。(が、展望台に満足してピークの方は気付かず通過していた)
あとは下山するだけ。
3時間ちょっとのトレッキングを終えて、無事にキャンプ場へと戻ってきた。
これが今回の山行記録だ。
ほどよい疲労感でちょうどいいコースだった。
まだ明るいが、お腹が空いたので飯だ。
今日は光源は小さいゴールゼロもどきを2個しか持ってきていないので、暗くなる前に色々と済ませたい。
米を炊き、肉とキムチを喰らう。
面倒なので途中から焼肉丼にした。
美味かった。
しかし寒い。
焚火台はいつも使っているベルモントのTABIだが、ちょっと火力が足りない。
ハイランダーの六花も持ってきていたので、そっちへバトンタッチ。
これが大成功で、薪を沢山入れられるし空気の循環がいいのかすげぇ良く燃える。
薪は大量に買ってあるので、どんどん燃やして暖まろう。
と、言っても、結局外にいると寒いことには変わりなく、身体の芯まで温まることはない。
結局19時ごろ、5kmほど離れたところにある銭湯へ行って温まることにした。
市が運営しているから料金は520円とお安い。
露天風呂もちゃんとあって大満足。
正直キャンプ場外まで車を走らせて銭湯に行くのは面倒だったのだが、来て良かった。
キャンプ場へ戻ったのが20時30分過ぎ。
火遊びをもうちょっとしたかったけど、せっかく温まったからテントに籠って酒飲んで寝よう。
焚火台以外は全てテント内へ押し込んだから少し狭苦しいが、ヘリノックスのグラウンドチェアに腰掛けて温めたワンカップ酒をチビチビ。途中で甘酒を入れてグビグビ。
ヒーターアタッチメントを暖房代わりにしているので、中は暖かい。
それを飲み干したら、就寝だ。
かなり冷えるので湯たんぽ2個、カイロ2個でブースト。
寝袋はシームレスダウンハガー800♯3に、ダウンスリーピングラップ♯5の組み合わせ。
♯0単体運用の方が暖かいのは分かり切っているのだが、上記組み合わせの保温力を知っておきたいので今回はこれを試す。
温度計を忘れたのが痛いが、恐らく-3〜4℃くらいいったんじゃないだろうか。
シングルウォールテントは保温性がないので、テント内は外気温と大きくは変わらないと思う。
結果的に、夜中に一瞬だけ少し暑さを感じた。
で、そのあとは湯たんぽが冷めるのと、明け方に向けて寒さのピークがやってくることが重なり、若干の冷えを感じ始めた。
ただ、ガクブルで眠れないというほどではなく、「ムニャムニャ…ちょっと寒いなぁ〜」くらいな感じ。
感覚的には♯3とダウンスリーピングラップ♯5の組み合わせはコンフォートで-1〜2℃くらいかなぁというところ。
多分使っていたテントが保温性の高いダブルウォールテントであれば、もっと快適に寝られていたんじゃないかと思う。
6時過ぎに20mほど離れたところの若者グループが起き出したようだ。
ダラダラ寝るんじゃなくて早起きで、感心だなぁ。しかもそこから駄弁る訳でもなく、静かに過ごしているようだ。
俺はと言えばそのタイミングで一瞬目が覚めたが、そこからまた1時間ほど二度寝をかました。
7時になり「こりゃいかんと」起き出す。
昨日は風呂後にすぐにテントに籠ったので、朝は焚火を楽しみたい。
テントの幕体は結露がびっしりと凍り付いており、スカート部も氷漬けだ。
火を熾しつつバーナーで湯を沸かす。
カフェラテを淹れてパンと一緒に頂く。
そうそう、昨日の昼食の写真にも写っているが、バーナーの遮熱テーブルはSOTO純正のミニマルワークトップ。
私的に買って損したキャンプ道具TOP3に入る。
実際、2022年に購入して実戦で使った記憶がほとんどない。
同年8月の六ツ矢崎浜での息子とのキャンプでは使った記憶があるが、もしかするとそこでしかまともに使っていないかもしれない。
今回気まぐれで持ち出したが、改めて使い辛いなと感じた。
食後は焚火に当たりながらゆっくりと過ごす。
スマホがあればどこでもネットをできる便利な世界になったし、自分自身ちょっとした時間にスマホでネットサーフィンをしてしまいがちだが、焚火の前だと不思議とあんまりスマホを触らなくなる。
本も忘れたし、ハイランダーの六花は薪を入れれば勝手に燃えるので空気を送り込んだりとか火の世話もいらない。
ボケーっと炎を眺めて意味のない時間を過ごした。
意味のない時間なのだが、それがいいとも思う。
適当に焚火と並行して片付けをし始める。
薪も9時前にはほぼ燃やし終わったので、撤収だ。テントは家のベランダに放り投げて乾かそう。
9時15分には車に乗り込み、妻に帰るとだけ連絡。
最初は疲れて何もやる気が起きなかったが、なんだかんだ充実していたと思う。
楽しかった。